この記事では、「マンションを購入しようか?」それとも「戸建てがいいのかな?」という疑問について、それぞれのメリット・デメリットを比較して、解説しています。
筆者が不動産業界で、25年に渡り「マンションも戸建ても、それぞれのお客様の購入に関わってきた」中から分かった「実務で感じる一般論とのギャップ」についても解説します!!
あなたが「マンションに向いている」か?「戸建てに向いている」か?分かる 10項目のチェックシートも用意してあります。
マンションと戸建てそれぞれのメリット・デメリットについて
実際の取引経験に基づいて解説します。
こんにちは、公認 不動産コンサルティングマスター資格保有者・上越市の不動産会社「LIXIL不動産ショップ 上越中央店」の金丸です。
今回は「マンションVS一戸建てどちらがいいですか?」というテーマを解説します。
結論から言うと、「マンションが合っている人」、「一戸建てが合っている人」に分けることが出来ます。
もくじ(タップで跳べます)
1.マンションのメリット・特徴
A.マンション メジャーなメリット
1.戸建てに比べて、立地の良いものを割安で購入できる
マンションは、主に、街の中心部の便利な立地であることが多く、駅前の距離がとても近い物件が多いです。
都心の便利な立地で、住まいを探した場合
一戸建てに比べると、マンションの方が安い価格で購入することが出来ます。
理由
その1:マンションは、高層に建てることにより「小さい土地を有効活用」しており、価格にしめる土地代が少なくてすむため、「2階建てなどで、高級な土地を贅沢に利用している一戸建て」よりも、一戸あたりの土地価格をおさえて建てることが出来ます。
その2:マンションの場合、1棟建てるだけで、一度に50戸とか100戸分の「キッチン」や「ユニットバス」などの設備を「一括購入」するので、メーカーから設備を割安で仕入れることが出来ます。
2.階段がなく、高齢者でも室内を楽に移動できる
マンションは、住戸内には一般的に階段がありません。
築浅の物件でしたら「バリアフリー」のことも多く、廊下から洗面室、トイレ、キッチンなどの床も、フラットになっていることが多いです。
そのため、戸建てに比べて、階段や段差が少ないため、お年寄りでも室内の移動がらくで暮らしやすいことがメリットです。
3.管理が楽
一戸建ての場合、敷地内(お庭など)の掃除を自分で行わなければなりません。
例えば
・落ち葉ひろいや、ちょっとした掃き掃除
・庭木の剪定(せんてい)
・外壁の清掃など
ちょっとしたことですが、日々行い続けるとなると、それなりの時間や労力がかかります。
マンションの場合、管理組合で管理人さんと契約していれば、下記のような共用部分の清掃は、管理人さんが行ってくれます。
例えば
・エントランスの清掃
・共用廊下、外壁などの清掃
・敷地内のごみ拾い、落ち葉ひろいなど
管理人さんが行ってくれるので、とって楽です。
4.屋根や外壁などの修繕費を、管理組合が計画的に積み立ててくれる
戸建ての場合は、自分の判断で「外壁や屋根の塗替え」など、修繕計画を立てなくてはなりません。
わずらわしいと思い方や、資金をうまく貯められない方もいると思います。
しかし、マンションの場合は、管理組合が管理会社指導のもと、毎月「修繕積立金」を集金して、修繕費用を計画的に積み立てていることが一般的です。
5.草刈りや草むしりをしなくていい
6.雪下ろしをしなくていい(雪国)
7.雪かきは最低限でいい(雪国)
8.ゴミ置き場の清掃当番がない(ことが多い)
戸建ての場合は
「庭の手入れ」や「玄関先の掃除」に「雪下ろし」「町内のごみ拾い」「側溝清掃」など…
手間のかかることが、何かと多いですね!
マンションの場合は、そういった「わずらわしさ」は、比較的少ないと言えます。
9.町内会の行事に参加しなくてすむ(ことが多い)
10.耐用年数が長い
諸説ありますが、木造の「一戸建て」よりも、鉄筋コンクリート造の「マンション」の方が、耐用年数が長いと言われています。
造りにもよりますが、鉄筋コンクリート造のマンションであれば、50~80年は構造的に利用できるものと考えられています。
11.中層階・高層階だと眺望に優れている
マンションの高層階は、非常に眺望がよいケースが多く、一戸建てにはない魅力の一つです!
B.マンション あまり知られていないメリット
1.断熱性・気密性が良く、光熱費が安くすむ
特に「中住戸」は、上・下・左・右を住戸に囲まれていて、「外気」に接する面積が少ないこともあり、快適な温度に保たれやすいですね♪
2.冬は暖かく、夏は涼しく過ごせる
鉄筋コンクリート造であるマンションは、一般的に一戸建てよりも、断熱性・気密性に優れているため、「暖房」や「冷房」が長持ちしやすいです。
そのため、一般的な一戸建てに比べて、冬は暖かく、夏は涼しく過ごすことが出来ます。
3.バルコニーが、日射しをうまく調整してくれる
南向きバルコニーの場合、実は、上の階のバルコニーが、室内に入ってくる「日射し」をうまく調整してくれています。
夏の暑い日差しは、なるべく住戸内に取り入れたくないものですが、夏の角度の高い日差しは、バルコニーがうまく遮ってくれますので、室内にはほとんど入らなくてすみます。
逆に、冬の暖かい日差しは、なるべく住戸内に取り入れたいものですが、冬の角度の低い日差しは、バルコニーがあっても、室内にうまく取り入れることが出来ます。
4.セキュリティーに優れている
マンションは「オートロック」や「防犯カメラ」などが、エントランスなどに設置されている物件が多く、セキュリティー面でも優れています。
5.戸締りが楽
マンションの場合は、出入り口が主に一か所です。
出かける時の戸締りは、主に「玄関とバルコニーのカギ閉め」だけでOKだったりして、わりと簡単にできます。
一戸建ての場合、1階に玄関の他、窓も多いので…
「玄関のカギを閉めて、勝手口も閉めたけど、あそこの窓のカギを閉め忘れていた…」なんてこともあったりします。
マンションは「オートロック」や「防犯カメラ」などが、エントランスなどに設置されている物件が多く、セキュリティー面でも優れています。
6.宅配ボックスが便利
7.転売しやすい
マンションは、鉄筋コンクリート造などで、耐用年数が長いです。
「外壁がタイル貼り」だったりしますし、大規模修繕工事でメンテナスを行ったすると、数十年にわたって綺麗な外観を保つこともできます。
そのため、一戸建てに比べて「転売しやすい」特徴があります。
もし、古くなっても、「水回り」や「壁紙」などの内装をリフォームすれば、新築と見劣りしない状態に保つことが出来ます。
それに対して、一戸建ては
外壁などを自分で計画的にメンテナスしていかないと、傷みが進んで、いつの間にか「みすぼらしくなっている」こともあります。
8.火災保険料がかなり安い
9.近所との付き合いが少ない
10.虫が出にくい
2.マンションのデメリット
1.管理費・修繕積立金などで毎月2万円以上かかる
2.駐車場使用料が必要なことが多い
3.サッシや玄関ドア等の共用部分には、リフォーム制約がある
4.増築ができない
5.固定資産税が高い
6.上下階の音(ドーンというような「重量衝撃音」)が伝わりやすい
例えば、お子さんの飛び跳ねるような音などの「ズシーン」や「ドーン」などの音は、上の階から下の階へ伝わりやすい特徴があります。
音の感じ方は、人によって違いますので、「音に対して敏感な方」は、購入に対して慎重になった方がいいかもしれません。
7.庭はありません(一般的に)
マンションでも1階住戸に限っては、「専用庭」がある場合もありますが、マンションには、一般的に「お庭」はありません。
「庭でバーベキューをやりたい」「子供をビニールプールで遊ばせたい」とお考えの方は、一戸建てを選ぶ方がいいかもしれません。
8.ペットを飼えないケースもあります
一般的に、それぞれのマンションに「管理規約」があり、ペット飼育についてのルールが定められています。
「管理規約」で、ペット飼育が可能としている物件も増えていますが、通常は「犬か猫1匹まで・体長50cmまで」などと、「頭数」や「大きさ」などが定められていることが多いです。
「管理規約」で、ペット飼育を禁止しているマンションもあります。
ペット飼育を予定している方は、検討しているマンションの「管理規約」の取り決めをしっかりと確認してください。
9.土地の持分割合が少なく、土地を所有しているという資産性に乏しい
10.近所の人との交流は、期待しにくい
筆者が実務で感じる「世間一般論」とのギャップ:その1
マンション(便利な立地の場合)は、戸建てに比べると、たしかに割安なことが多いです。
マンションは、一般的に管理費や修繕積立金を合わせると
『月額2万円以上』は、維持費がかかります。
一戸建てに比べると「毎月2万円以上、住居費を多めに負担しなければならない」ことになります。
もちろん、管理費は「共用部分を管理人に掃除してもらう」ための費用であり、無駄な出費ではありません!
修繕積立金については「将来、外壁や屋根などを修繕するために必要になるお金を、毎月計画的に積み立てておく」とう点では…
マンションに限らず、一戸建てにおいても「本来、必要な制度」です。
必要なコストを「毎月払って、積み立てる(マンション)」か、「将来、一括して払う(一戸建て)」か、の違いだけだと考えることも出来ます。
しかし、毎月2万円の違いというのは、35年の住宅ローンで考えると、およそ「700万円分の支払い」に該当します。
戸建もマンションも「将来的に必要な、メンテナス費用は、ほぼ同じ」と言われています。
ところが、マンションには、戸建てにない設備が多かったりします。
例えば、エレベーター等、「メンテナンスや交換に、数百万円かかる設備」もあります。
そのため、マンションの方が、戸建てよりもメンテナンス費が、やや高くなる傾向があります。
一戸建を4,000万円で購入
住宅ローン:4,000万円→毎月住居費:12万円程度
※将来的なメンテナンス費用は、別途(自分でコントロール)
マンションを3,300万円で購入
住宅ローン:3,300万円→毎月住居費:12万円程度
(住宅ローン:約10万円+管理費・修繕積立金:約2万円)
※将来的なメンテナンス費用(共用部)は、管理組合が積立
となり、4,000万円で購入する「一戸建て」と、3,300万円で購入する「マンション」の毎月の住居費は、同じくらいになります。
「毎月の住居費」を同じにするためには、マンションの場合、一戸建てよりも700万円ほど、安い物件を購入する必要がありますので、ご注意ください。
3.マンションに向いている人
総じて言うと『便利で都会的な暮らしをした人』向けです!
特に、マンションが向いている方は、次の3つの方です。
- 高齢者
- 単身女性
- 転勤族
高齢者にマンションが向いている理由
◎段差がなくてバリアフリー
◎管理が楽
◎戸締りが楽
○雪かき・雪下ろしなど、しなくてよかったりする
○セキュリティー面に優れる
単身女性にマンションが向いている理由
◎セキュリティー面に優れる
◎管理が楽 町内会行事への参加が最低限ですむ
○利便性に優れる
筆者が実務で感じる「世間一般論」とのギャップ:その2
①単身女性がもし、結婚したらマンションの処分に困るのでは?
という意見があります。
私が、25年の不動産営業において、実際にそうような方に複数かかわってきた結果は、意外なものでした!
立地や管理状態の良いマンションであれば、比較的有利な条件で、すぐに売れています。
事例1 A様
住宅ローンの残債額を上回る金額で、ご自身が所有するマンションを、比較的早く売却を成立させて(今まで、自分が住んでいたマンションを売り払って)、ご主人が新しく購入したマンションへの引っ越しを成功させた女性:A様がいらっしゃいました。
また、ある女性の方は
事例2 B様
ご結婚を機に、ご主人が一戸建(豪邸)を新築して、そちらに移り住みました。
そして、ご自身の購入していたマンションへは、親御さんが住むことになりました。
親御さんも「古い一戸建てよりも、はるかに便利で住み心地がいい」と、喜んでいらっしゃいました。
以外にも、「マンション購入が足かせにならずに、人生が好転している」
女性(元単身者)のケースに、多くかかわる結果となったのです!
繰り返しになりますが『立地が良く便利で、管理状態の良いマンション』を割安で購入した場合には、マンション所有が、その後にライフプランが変化しても、足かせにはなりにくい。と実感しています。
②これからは、単身者が増えるので、マンションを将来転売する可能性を考えて、面積の小さい「1R」や「1LDK」のマンションを購入した方が、有利なのでは?
という意見があります。
私が、25年間において様々な中古マンションの売買に関わってきた感想としては…
例え、一人暮らしの方でも、50㎡以下の『1R』や『1LDK』『2DK』の間取りを買う方は少ないです。
逆に、一人暮らしの方でも、60㎡以上の『2LDK』や『3LDK』を、好んで買う方が、実際に多かったです。
最近は、趣味を持つ方や、家財道具を多く持つ方が増えています。
例え「一人暮らし」でも、40代以上の方は物が多いので、狭い住宅では生活できません。
もしも、将来「マンションを転売するかもしれない」と考えるのであれば、『最低50㎡以上の大きさのもの(2LDKや3LDKなど)』を選んだ方がよいと思います。
転勤族にマンションが向いている理由
◎転売しやすい
◎管理が楽、町内会行事への参加が最低限ですむ
○セキュリティー面に優れる(ご主人が単身赴任時など)
4.戸建てのメリット・特徴
1.庭がある
2.ペットが自由に飼える
3.駐車場を敷地内に確保できることも(駐車料の支払いが不要)
4.室内で子供が飛び跳ねるなど、音の問題を気にしなくてすむ
5.増築やリフォーム等がしやすい
6.古くなっても、土地が資産として残る可能性がある
7.注文住宅なら、自分のこだわりを追求した家の建築が可能
8.住所を書くとき楽
マンションやアパートの場合
例えば「東京都○○区○○町○番○号 ○○○ホームズ○○レジデンス・イースト1203号」みたいなマンション名だと、住所を書くときに大変だったりします。
戸建ての場合
例えば「東京都○○区○○町○番○号」で終わりですね!
5.戸建てのデメリット
1.都市の便利な立地の場合は、マンションよりも「購入価格」が高額となりやすい
2.草刈り・草むしり等が必要
3.雪下ろしが必要(雪国)
4.外壁や屋根などのメンテナンスを、自分で計画しなければならない
5.窓が多く、戸締りが比較的たいへん
6.町内会などのイベントへの参加が比較的多い
筆者が実務で感じる「世間一般論」とのギャップ
マンションは、土地の持ち分割が少なくて「資産性において不利」なのでは…
戸建ては、土地が最終的に残るので「資産として有利」なのでは…
という意見がありますが…
ちょっと、時代遅れな発想ではないか?と筆者は思います。
不動産仲介の実務の結果から、次の様につくづく感じています。
古いマンションでも、立地が良ければ、高く売れたりします!
しかし、戸建てでも、立地が悪ければ、どんなに広い土地でも買い手がつかず『資産性』はありません。
地方や郊外においては、戸建てでも魅力のない土地に立っている場合は、将来的な『資産性』は、ほとんど期待できません(ただし、『利用価値』は50~60年はメンテナンス次第であります)。
その場合は、「耐久消費財」と考えて購入の判断をする必要があるかもしれません。
6.戸建てに向いている人
総じて言うと『子供や家族と、自由にのびのびと暮らしたい人』向きです!
特に、戸建てが向いている方は、次の2つの方です。
- 動きが活発な子供がいるご家族
- 車を2台以上は持ちたい人
動きが活発な子供がいるご家族
戸建てが向いている理由
◎マンションよりも、子供の飛び跳ねるなど、音の問題を気にしなくて済む
○庭で子供が遊んだり、ビニールプールを出したり、庭でBBQなど楽しめる
○庭で家庭菜園などができる
○犬や猫などペットを2匹以上飼うことが出来る
車を2台以上持ちたい人
戸建てが向いている理由
◎駐車場を敷地内に確保できるケースがある(駐車料の支払いが不要)
【最後に…】
「マンションVS戸建どちらがいいのか?」の解説は、以上になります。
どちらを選んだらいいのか?は、あなたの自由です。
ご自分の「ライフスタイル」を考えた上で、最終的には、ご自身の好みで決めるのがよろしいかと思います。
ちなみに、私自身は「子供が巣立って行くまでは『戸建て』で、老後、夫婦2人になったら、便利な場所にあって車がなくても生活できる『マンション』に住めたら理想的!」と考えています。
あなたが『マンション向き』か?『戸建て向き』か?分かる 10項目の質問
あなたやあなたのご家族が、どちらを望んでいるのか?は
次の質問で分かります。
10コの項目ごとに、表の当てはまる部分に〇を付けてみて下さい。
もしも、住宅購入などに関して、ご不明な点やご相談したい事などございましら、下記フォームからお気軽にお問い合わせください。
なお、マンション購入に興味がある方は、『マンション購入』のポイントをまとめたブログがありますので、ぜひご覧ください。
マンション購入 新築マンションVS中古マンション メリット・デメリット