この記事では、「持ち家を購入しようか?」それとも「一生賃貸がいいか?」と迷っている方に向けて、それぞれのメリット・デメリットを解説しています。
経済的な視点だけでなく、その人の状況や、精神的(こころ)の視点についても、取り上げて解説します。
もくじ(タップで跳べます)
賃貸と持ち家(購入)それぞれのメリット・デメリットについて徹底解説
こんにちは、公認 不動産コンサルティングマスター資格保有者・上越市の不動産会社「LIXIL不動産ショップ 上越中央店」の金丸です。
今回は「賃貸VS持ち家 どちらがいいですか?」というテーマを取り上げます。
判断するには、以下の3つのポイントによって結論が変わります!
1.その人の状況によります
2.物件によります
3.価値観によります
このテーマは、昔からよく議論される定番のテーマでありますが…
持ち家の
✅満足感
✅幸福感
✅精神的な安定
など、数字で表しにくい要素が、持ち家にあるため、明確な答えを出しにくい題材でもあります。
今回は、筆者が24年間、不動産業界にいた中で感じていることを、私の主観でお話いたします。
結論から言うと、買える余裕のある人は、持ち家(購入)がおすすめです。
賃貸と持ち家の大きなポイント
1.賃貸はいくら家賃を払い続けても、自分のものになりません
2.持ち家の方が、広くて・グレードが高く・性能に優れています
賃貸の「毎月の賃料」と、持ち家の「35年ローンの毎月返済額」を、仮に同額として、どんな住宅に住めるのか?比較した場合
同じ住居費を払った場合
一般的に、持ち家(購入)の方が、広くて・設備のグレードも高く・断熱性や気密性・耐震性に優れた住宅に住むことが出来ます♪
広さで、例えると
賃貸だと:1LDK~2DK
持ち家(購入):4LDKに住める♪
同じ住居費を払った場合、このような広さの違いが、地方都市では十分ありえます!
3.持ち家(購入)の方が、老後の生活が楽になります
賃貸派の方の主張で、「35年の期間で、『賃貸の場合の住居費』と『持ち家(購入)の場合の住居費』を考えた場合」
【持ち家(購入)】は、住宅ローンの他に
●固定資産税
●建物のメンテナンス費用
などの、出費があります。
そのため、「経済的には、賃貸の方が有利」だとも言われています。
(賃貸物件の広さ・立地・グレードにもよります)
現代は、日本人の平均寿命から考えると
「人生 80~90年の時代」に突入しました!
そうすると、親元から独立して、「住居費」というものを支払うようになるのは、人生において「25歳~85歳前後」の約60年間と考えられます。
その結果、一般的には、約60年間、賃貸か持ち家(購入物件)に住むことになりますね。
現代社会では、賃貸の方は、約60年間ずっと「家賃」を払い続けることになりそうです。
仮に、あなたが、60歳を過ぎて持ち家がなかった場合
「アパートに家賃を払いながら、ずっと住んでいられるのだろうか?」
という不安を抱えて生活するようになる可能性があります。
持ち家(購入)の方は、住宅ローンの返済が終わった後(35年後)は
●固定資産税
●建物メンテナンス代
だけしか、住居費がかからなくてすみそうです♪
持ち家があった方が、精神的にも安心ではないでしょうか?
【結論】
持ち家(購入)物件の方が、約60年間で考えた場合、「トータルの住居費は安く済む」可能性があります。
賃貸のメリット
一概に、だれでも「持ち家(購入)」の方がいいとは、筆者は考えていません。
賃貸にも、下記の様に様々なメリットがあります。
- 転勤などの生活の変化に対応しやすい
- 災害などで住宅が被害を受けた場合、経済的なリスクを負わなくてすむ
- 住み替えることが、持ち家に比べて簡単
- いずれ実家に帰るまでの「仮住まい」としては、経済的に手ごろ
- 住宅ローンを組めない場合でも、賃貸の入居審査は比較的通りやすい
賃貸のデメリット
- 資産にならない
- 同じ住居費を払った場合、持ち家(購入)に比べて、狭く、グレードが低めになる
- 釘一本打つにも自由にできず、自分の判断でリフォームや改造は、原則できない
- ペットが飼えない物件が多い
- 部屋の中で子供が泣いたり、走り回ったりすると、周りの住民に迷惑(音の問題)になるケースがある
- 庭がないことが多く、「バーベキュー」や「子供の遊び場」「家庭菜園」など制約がある
- 老人になると、賃貸物件の審査が通りにくくなり、部屋を借りれなくなるリスクがある
アパート等の「家主」の立場からすると、老人を入居させた場合に、「孤独死」などが起こることを心配しています。
「孤独死」が発生すると、そのアパートが「事故物件」という扱いを受け、入居者が決まりにくくなったり、賃料を大幅に下げる様になったり、アパートの審査価値が下がったりします。
そのため、大家さんは、老人の入居には消極的です。
持ち家(購入)のメリット
筆者の考える「持ち家(購入)」のメリットには
1.「経済的・物理的」メリット
2.「精神的(こころ)」メリット
の2種類があります。
1.「経済的・物理的」メリット
- 資産になる
- 同じ住居費を払った場合、賃貸に比べて、広くて、グレードが高い住宅に住める
- 老後の住居費が安くなる可能性がある(なるべく若いときに、品質が良く、リーズナブルな住宅を購入して、老後になる前に住宅ローンの返済を終えた場合)
- 改造やリフォームを自分の意志で自由にできる
- ペットが飼える
- 家の中で子供が泣いたり、走り回ったりしても、音の問題で周りの住人のことを気にしなくて済む
- 庭があるので、車を駐車したり、バーベキューをしたり、子供をビニールプールで遊ばせたり出来る
- 住宅ローン減税の恩恵を受けられる可能性がある
- 住宅ローンに団体生命保険をセットすることが出来る(万が一、ご主人等が死亡した場合は、生命保険で住宅ローンが完済されるので、家族に無借金の家が残せる)
2.「精神的(こころ)」メリット
- 賃貸に比べて、所有することに対する「満足度」が高い
- 社会的に信用度が増す
- 持ち家があった方が、子供や家族の思い出になりやすい
- 購入した方が「自分の家」という自覚が高まるので、家族の絆が強くなる可能性がある。
- 子供が巣立って行った際に、いつでも帰れる「実家」が持ち家であるということが、子供の「安心感」につながる可能性がある
- 転勤のたびに、「賃貸」で住み替えを繰り返すよりも、「持ち家」で同じ環境で暮らす方が、子供にとって精神的に安定することが多い
賃貸で、転勤を繰り返すたびに、転校をしたり住環境が変わったりすると、子供が環境の変化に対応しきれなくなって、「精神的に不安定になる」こともあります…
お子さんの「心」の安定を考えて
例え「転勤族」だったとしても、お子さんが小学校に上がるタイミングで「持ち家」を購入し、奥さんと子供はそこに残り、ご主人のみが転勤先に行くというスタイルを選択されるご家族もいらっしゃる様です…
持ち家には、経済的なメリットの他に、精神的(こころ)なメリットが多いことが分かります!
私たち日本人にとって「夢のマイホーム」という思想は、根強いものがあります。
「持ち家」は、決して「経済的な価値」だけでは判断できない、「幸せ」という精神的な要素と深く結びついているものと考えられます。
持ち家(購入)のデメリット
- 転勤などの生活の変化に対応しにくい
- 転勤などの際に、簡単に「売ったり」「貸したり」して処分しにくい
- 災害などで、住宅が被害を受けた場合に、経済的なリスクを負う可能性がある
- 賃貸に比べて、色々な町に「住み替える」ことが難しい
- 住宅ローンが終わるまで、住宅ローンに縛られる可能性がある
持ち家にも、デメリットはあります。
特に、気軽に引っ越せないことが特徴となります。そのため、「住む場所を固定したくない人」には、持ち家は向いていません。
一人暮らしで、転勤の多い人にも、持ち家よりも賃貸の方が向いているといえます。
災害のリスクは、保険商品でカバーできたり、災害の危険性の少ない立地を選ぶなどで、ある程度コントロール出来ますので、心配しすぎる必要はないと思います。
まとめ(3つのポイントで判断)
賃貸にもメリット・デメリットがあり、持ち家(購入)にもメリット・デメリットがあることが分かりました。
それぞれの特徴がありますので、それぞれの人の「状況」「価値観」によっても、また、どんな「物件」を選ぶかによっても、ベストな選択は変わってきます。
筆者は、「賃貸が向いている人」と「持ち家(購入)が向いている人」が、それぞれ存在すると考えます。
賃貸が向いている人
- 住む場所を固定したくない人
- 老後の家賃支払いに備えて貯金が出来る人
- 独身で、広い家が必要ない人
- 収入が安定しない(住宅ローン審査が通らない)人
持ち家が向いている人
- 家族やお子さんのいる人
- 30~40年以上、同じ地域に住むつもりの人
- 将来のプランや住みたい場所がある程度決まっている人
- 安定した収入がある人
家族やお子さんがいて、ずっと同じ地域に住むつもりの方には、「持ち家(購入)」のメリットが何かと大きいと考えます。
しかし、持ち家の購入だけが、バラ色の人生を約束する条件ではありません。
住む場所にしばられず、自由に生きていたいという価値観の方には、「賃貸」という選択が合っていると思います。
さいごに
例えば、一生「賃貸」を選んだ場合、気を付けないといけないポイントに
「老後も、現役時代と同じ金額の家賃を支払い続けることが出来るか?」
という心配点があります。
一生「賃貸」を選択する場合は、老後の住居費負担分を、しっかりと貯金しておく必要があります。
持ち家(購入)の場合のデメリットは、大まかには、「転勤・失業・引っ越しなど」の際に、売ったり、貸したりが出来ないと、経済的に苦しくなるリスクがあることです。
そのリスクは、ゼロには出来ませんが、解決策としては、将来もしも、不測の事態が起きた場合には、「それ程、損をしないで、売ったり、貸したりが出来る物件」を、選んで購入したり、建てたりすることが重要になります。
「品質」や「利用価値」が高く「立地条件」が良い住宅を、なるべく安い価格で購入することが、リスクヘッジになります。
そのあたりの判断は、特に高い専門性が必要となりますので、その道のプロで信用できる人に相談するのが良いかもしれません。
みなさん、色々な意見があって、どちらが正解とは一概に言えない話ですが、筆者は、どちらかというと、住宅を購入する余裕のある方は購入することを、おすすめしたいと考えています。
参考材料の一つにしていただければ幸いです。
もしも、住宅購入などに関して、ご不明な点やご相談したい事などございましら、下記フォームからお気軽にお問い合わせください。
なお、持ち家に興味のある方は、「新築住宅」がいいのか?「中古住宅」がいいのか?について、ポイントをまとめたブログがあります。
ぜひ、ご覧ください。
新築住宅VS中古住宅 メリット・デメリット 不動産選びの原理・原則